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不倫の慰謝料請求の時効|期限や更新する方法など詳しく解説

不倫の慰謝料の請求に期限はあるのか、また期限が迫っている場合に一時的に更新する方法はないかというご質問をいただきます。
本ホームページでは請求の期限、いわゆる消滅時効とその更新について詳しく解説をしていきます。

 

◆消滅時効とは
消滅時効とは、行使できる権利を一定期間行使しなかった場合に、権利そのものが消滅するという制度です。

 

不倫の慰謝料の請求は民法709条の不法行為に基づいて請求をすることになります。
本来消滅時効は民法166条の規定に従いますが、不法行為に関しては消滅時効の特則が民法724条に規定されています。

 

不法行為による損害賠償請求権の消滅時効の期限は2つあります。
1つが損害の発生及び加害者を知ったときから3年以内です。
もう1つは不法行為の発生時から20年以内です。

 

ただし不倫に関しては原則としては3年の消滅時効が適用されると考えられます。
その理由としては不倫による損害の発生と加害者が明らかであるからです。

 

20年の消滅時効が適用される場合は、元配偶者の不倫相手に損害賠償を請求するケースに限られることになるでしょう。
3年の消滅時効は損害の発生「及び」加害者と規定されているため、両方を認識する必要があります。損害の発生は認識できても、不倫相手が誰であるかを特定できていない場合には、20年の消滅時効が適用されます。

 

◆消滅時効の期間が経過しないために
基本的に元配偶者への損害賠償請求に関しては、離婚調停や裁判などに際して財産分与と同時に請求することとなるため、消滅時効の期間が経過することは稀なケースでしょう。
ただし、調停や裁判などを経ることなく協議離婚をした場合に、慰謝料の話がうやむやになったまま離婚届を提出してしまうということもあり得ます。

 

そこで、弁護士に相談をして、元配偶者の不倫相手への損害賠償請求と同時に行うことをおすすめします。
弁護士に相談をしておくことで、忘れることなく慰謝料を請求することができるうえ、不倫相手と元配偶者両方への慰謝料請求訴訟を委任することができるため、消滅時効の期間経過を避けることができます。

 

◆時効を更新する方法
時効には「更新」と「完成猶予」という概念があります(民法147条)。

 

時効の完成猶予とは、①裁判上の請求、②支払督促、③民訴法275条1項の和解や民事調停法などの調停、④破産手続等参加の事由が終了(確定判決または確定判決と同一の効力を有するものにより権利が確定することなくその事由が終了したときは、そのときから6か月経過)するまでの間は、時効が完成することなく、6ヶ月の間完成が猶予されるというものです(民法147条1項)。
また、時効の完成猶予は、上記①〜④の事由の終了以外にもあります。

 

具体的には、強制執行(民法148条1項)、仮差押え等(民法149条)、催告(民法150条)、協議を行う旨の合意(民法151条)があります。

 

時効の更新とは、確定判決または確定判決と同一の効力を有するものにより権利が確定したときは、①〜④の事由が終了したときから新たにその進行を始める、すなわち経過した時効期間がリセットされ、新たに時効の算出がスタートするというものです(民法147条2項)。
また、時効の更新についてもその他の事由があります。

 

強制執行(民法148条2項)と承認(民法152条)です。

 

・強制執行・仮差押え
強制執行とは、相手方が債務を履行しない場合に、法律に基づき国家の強制手段に基づき、債務の履行を実現することを言います。
仮差押えは、相手方に金銭債務がある場合に、強制執行によってもその債務履行の実現が困難な場合に、相手方の財産を仮に差押えておくことによって、訴訟前や訴訟係属中に第三者の手にわたることを防ぐ手段をいいます。

 

・催告
時効が迫っている場合には、急いで上記の裁判上の請求を行いたいところですが、裁判を起こすには準備が必要となります。そこで即時に裁判を起こすことができない場合に関しては、催告が有効な手段となります。
催告とは、裁判所を通さずに相手方に一定の行為の請求をすることを指します。
催告をした場合、催告の時から6箇月の間、時効の完成が猶予されます。

 

・債務承認
債務承認とは、債務者に対して債務があることを認めさせることを指し、相手が債務の存在を認めることによって時効が新たに進行することを言います。
承認があったことを確実とするために、相手方に書面で慰謝料の支払い義務があることを認めさせる旨を書かせると良いでしょう。

 

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